2017年4月17日月曜日

開発者セルフレビュー No.1 KL-Kanon

ヘッドフォン祭まであと2週間!それまでの間、少しでも楽しんでもらえるようにセルフレビューっぽいものをお届けしたいと思います。
自分で作った機種くらい、自分で説明しなさい!と言われたのでKL-KanonからKL-Lakhにいたるまでをじっくり書いてみようかと思います。

まずはKL-Kanonから。
もともとBA4ドライバ機として開発がスタートしたのですが、実はこの会社に入る前から設計を進めていた機種なんです。
KL-Kanon with iPhone5S+HA-2SE

キッカケはとある方から頂いた3200系というBAドライバ。実は当時なかなか採用例がありませんでした。
ひとまずフルレンジで鳴らしたところ存外に気持ちよく鳴ることから、少し物足りないローとハイにBAを追加して3wayにすることで、ワイドレンジなモデルに出来るんじゃないかと設計し始めました。
いざ設計を始めると、このBAが厄介でチューニングが上手くいかず、結果編み出したのがKL-Kanonの特長でもあるボア加工でした。
ボア加工は中域・高域用ドライバの音導管をひとつにまとめて大きくすることで、音導管で発生するピークをコントロールしています。
特長的なボアとスイッチ機構

その後設定されたスイッチオプションは「1台で3度美味しい」をコンセプトに、BAを2機追加した上でネットワークを工夫して
4ドライバ-6ドライバ(Flat)-6ドライバ(Bass)
という3キャラクターの切替を実現しました。
この切替ですが、よく「スイッチで切り替えているのは抵抗値ですか?」と聞かれます。
実際は、追加された2機のBAドライバに繋がるネットワークそのものを切り替えることで、あの変化幅を実現しています。
そのために、スイッチの裏にわざわざ専用基板を設けているんです。


さて肝心の音作りですが、かなりトリッキーな音になっているかと思います。
まず耳に飛び込んでくるのはキラキラとした高域です。これは普段は聞き逃すような細やかな音まで聴けるように意図して作ったものでした。
キラキラしたこの高域は刺さりそうで刺さらないギリギリを攻めることで、音数の少ない音源のシンバル系のニュアンスや細やかなタッチの表現を得意としています。

中域は主にボーカルが一歩引いたところから聞えるような距離感を作りました。
厚みはそぎ落とすことなく、その距離感だけを調節することでボーカルの主張をあえて抑え、イヤホンやカスタムIEMでは当時珍しかった広い音場を狙っていました。

低域はBAのレスポンスの良さを活かして、硬くハリのあるドラム・ベースを奏でます。
音数が増えてもボワつかず、歯切れ良く鳴るのがポイントです。
全体の音場や距離感は、低域から高域にかけて迫ってくるようなバランスに仕立てました。

スイッチによる切替は、文字通りフラットな特性を目指したキャラクターとベースに厚みを持たせたキャラクターをセットしました。
フラットではボーカルの距離を若干近づけ、音量だけでなく音像に統一感を持たせました。
ベースでは低域の量感ではなく厚みを重視し、より立体感のあるサウンドに仕上げました。
スイッチひとつで音場という全体の広さだけでなく個々の音の距離の変化も実感してもらえるかと思います。

珍しいBAを採用していたり、スイッチで音が変わったり、音場の広さにこだわっていたり、一見キワモノに見られがちなKL-Kanonですが、是非一度、意外と広いその懐に飛び込んでみて下さい。
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次回はKL-REFをご紹介!
お楽しみに。