2013年4月4日木曜日

TWFK考察

単価が高かったり、いまひとつマッチングが取れなかったりして
苦手なBAの一つであったTWFK.

Unique Melody - Mage
Heir Audio - 4.A
メーカー製CIEMでTWFK採用といえばMageやHeirの一連のシリーズが浮かびます。
UE7proの時に触れましたが、4.Aのf特に見られるディップが気になります。
84さんのブログにも、TWFKを使ったG12とG16の周波数測定
記事がありますが、これでもディップが確認できます。
また、Mageの3kHz以降の不思議な波形はどうやって出してるんでしょうか。
今回はTWFKを使っていろいろ調べてみようと思います。

①高域の波形をどのように再現するか?

Mageの3kHz以降は特徴的なんですが、これはもしかすると
あの独特の音導管によるものなのかもしれません。

84さんMage
nTaQさんMage
てっきり「音導チューブの取りまわしがきつくて、掘り返したのかな?」と
思ってたんですが、同じ様な造型が二つのIEMに現れてることを見ると、
これは意図的に作ってるみたいです。また、nTaQさんから借りた
同じくUMのAeroの音導管を見るとごく普通の造型なので、
やはりこれはMage専用の造型のよう。
Unique Melody - Aero
JH Audio - JH10pro*3
さらに、普通の処理をしているIEMでも、ツイーター側の
音導孔を拡張してる処理も良く見ます。
両者に共通しているのは、チューブの内径よりも広い空間に
音を導くという設計です。


とりあえず、Mageの音導孔をまねたものを作って、
これにTWFKの音導チューブを繋げて測定してみます。



すると同一ドライバありながら結構な差が。緑はちなみにグリーンハウスのTWFKホン。
やはり音導の処理は特に高域にかなりの差を生みそうです。


Mageと見比べてみると、黄色く囲った部分が似てなくもない。
それにしても能率が合わないですが・・・

TWFKの高域を特に楽しみたいなら、音導を拡張するのがよさそうです。

②ディップを埋めるにはどうしたらいいか?

ネットワーク無し・スルー付けのTWFK
Heir 4.A
さて、もう一度TWFKの周波数特性を見てみると、
ちょうどHeir 4.Aと同じところにディップがあるのが分かります。
これはDTECとの位相ずれではなく、TWFKのFK部とWBFK部の位相ずれによる
ディップだったみたいです。


FKはスルー、WBFKにコンデンサ直列でどうなるか。
多少ディップは埋まりましたが、まだ谷が出来ています。青線はSonion4400タンデム。

そこで、UE7proの時と同じく、FKを逆相にしてみます。


TWFKは、FK(下のBA,真ん中にベントがある)とWBFK(上のBAドライバ)の
マイナス同士が緑のエナメル線で結線されてるので、
コイツを取り除いてやる必要があります。僕はカッターで切っちゃいました。


ディップが埋まりました。ちなみに、FK部にコンデンサを挟んでも結果は同じです。
あの大きなディップを埋めるには、FKを逆相で使うのがよさそうです。

ただ、ディップを埋めることが音質向上に繋がるかどうかはわかりません。
ツイッター上で682さんが指摘してたんですが、
等ラウドネス曲線を考えると、人間が一番聴こえやすい2k~5kにディップがあるほうが
実際上はフラットに聴こえやすい、ということも有るようです。
たしかに、4.Aを聴いたときそれほど不自然な音色には聴こえませんでした。
長々書いてきましたが、結局はディップがあろうが無かろうが、
自分の耳に合うほうを取ったほうがよさそうです。

こんな結論ですみませんw いろいろ引き出しが増えればと思います。