2012年8月30日木曜日

教訓1・必ずどこかしらトラブルが出ると思え

うーん、『ED29689 + 2015』 VS 『2389 + CI22955』編を投稿しようと
周波数特性を測っていたんだけど、なぜかパソコンでマイクから音が拾えなくなりました・・・w
せっかくマイクを作り直したのに・・・orz

ということで、環境が復活するまで雑記的な記事を。
お金をかけたくないので自作する、というのが自作に走る大きな理由の一つだと思うんですが、
いろいろ道具や材料をそろえたり、失敗作をこしらえたりして結局
既製品を買うのと同じくらいお金がかかってしまうというのはこれも良くある話です。

私がIEMを自作したきっかけは、UMでリモールドしてもらったSE530が
ピンの中折れを起こし、何とかして自分で直そうとした事でした。
そのときはコネクタをMMCXに変えるだけで良いや、と思いピンバイスで
ほじくり返してたんですが、誤って内部配線を切ってしまいました。
こうなるとシェルを割って内部の配線をやり直すしかないのですが、
UMに出すのはめんどくさいし、¥16000くらいかかるしなぁ、と気乗りがしませんでした。
そこで、前から興味のあった自作カスタムIEMをやってみようと思い立ちます。

ヘッドホンアンプの自作経験があるので、BAドライバの結線などはなんとなく想像が
できたんですが、シェルの造型が未知の体験だったので全く想像できません。
いろいろと調べていくうちに、シェルの素材、型どり用シリコン、リューターなどの工具が
必要だとわかり、これらをそろえた時点でもうすでに¥10000を超えていましたw

シェルの素材をそろえていくうちに、新しくIEMを作れないかと思いたち、BAドライバを
Mouserから購入します。初めて買ったのはCI22955とWBFKをそれぞれ2個ずつで、
あわせて¥12000也。総額ではもうすでにUMリシェル代を超えました。
音導チューブやらフィルターなどでさらに¥3000くらいかかります。

結局、このCI+WBFKという構成も、中域がスカスカでボツになり、さらに
音導チューブに接着されたCIを外すときに横着してペンチを使ったため、
CIを一個潰してしまいますw

頭にきてもう全てを放置したくなったのですが、何とかしてSE530のリシェルだけを
やろうと思い直し、配線を切ってしまった左だけリシェルすることにしました。
当時はオスメス法が洗練されていなかったので、中が詰まったレジンのシェルを
リューターで切削して、UVレジンでならして見てくれを整えました。


最終的に¥30000超くらい支払って完成したのはこのいびつな見てくれの物です。
これが完成した時は、もうしばらく作りたくないな、という感想でした。
しかし、すんなり行かず、いろいろ失敗したので、「次はこうできるんじゃないか」
「これはやってはいけないんだな」というアイディアが次々と出てきて、
一週間も経たないうちにCIと10proのハイドラを使ったIEMを造り始めます。

製作途中に出てくる予期せぬトラブルというのは、実はアイディアの源泉なんでは無いでしょうか。
トラブルがあまりに大きすぎると、製作自体が中断せざるを得なくなってしまいますが、
少しくらい失敗するということを計画に織り込んだ方が、結果的に
実りあるものになると思うのです。

イヤホン自作スレに限らず、自作系スレで「そんなもんちょっと試せば分かる事なのにな」
という質問がたまにあります。まぁ大体スルーしちゃうんですがw
失敗したくないのも分かりますが、最初から成功してしまうと発展性が
なくなってしまうのかもしれません。

自作にはトラブルがつき物。必ずどこかしらトラブルが出ると思え。
しかしそれこそが自作の醍醐味である。

2012年8月25日土曜日

3WAY/3ドライバIEMその1・ネットワーク編

トゲトゲ・フェイスプレートのIEMですが、こんな感じでケーブルとつなげます。
ICコネクタのオス側がこれから紹介する基盤側に刺すほう、右側がフェイスプレートに刺す
メス側です。IEMに装着したのが右の写真。
これは片chだけ接続してみた写真ですが、こんな感じで基板上で抵抗やコンデンサを刺して
ネットワークを調節します。
 これは言葉で説明するのが難しいので、写真を良く見てどんなものか分かってくださいw
まぁ電子工作に慣れてる方ならなんと言うことは無い単純な構造です。
 これは2通りのネットワークがスイッチ切り替えできるバージョンです。こんな感じで
タンタルコンと抵抗を刺してネットワークを調整します。
12dBネットワークの方は、スイッチが足りないためまだ使えません。
スイッチのスナップ感が心地よい。裏面の配線はそれなりに複雑です。
どうやってもラインがクロスするのでスパゲッティ配線になりますね・・・
もう二度と作りたくないこれw

さて、この基盤をつかってED*2 + 2015 のIEMをあれこれやってたんですが、
どうもシックリこない。2015に抵抗をはさんで能率を下げれば聴けない事も
無いんですが、低域がボワ付いてて息苦しいんですよね・・・。

そんなわけで、急遽 CI22955 + 2389*2のIEMを作成。
ついにSonionのドラ投入です。
 よし、こちらもネットワークあれこれするか、と思ってトゲトゲフェイスプレートに
コネクタを繋げて、刺すところを間違えたので引き抜いたら・・・
右の写真のようにぶちーんと千切れました。どうも接着が甘かったようです。
幸い半田パッドは無事だったのですが、
ありとあらゆる気力を萎えさせるに十分でした。もうフテ寝決定です。

(『ED29689 + 2015』 VS 『2389 + CI22955』 編につづく)

2012年8月19日日曜日

3WAY/3ドライバIEMその1・組立編

グループバイで手に入れたSonionのドライバがもったいなくてなかなか使えずw、
手持ちのドライバで3ドラIEMをなんとなく組み立ててみました。

あくまで視聴機の感想ですが、メーカーによる音の違いが一番表れるのが
この3ドライバのIEMだと思います。6ドラ以上の多ドライバIEMは、どの帯域も
満遍なく音圧が上がっているため、ある一定の音の傾向に収束していくのかな、
という印象です。Heir audioの8.Aは多ドライバながら解像度が高いと噂ですが・・・。

使用するドライバは、UE5proをバラしたときに余った2015と、突発的にmouserから
6個購入したED29689です。ローに2015、ミッドにED29689、ハイにED29689という
構成です。
ちなみに、5proは2015がスルー、2389?に1.5uFのコンデンサを直列という構成に
なっています。
 新調したシェルですが、第2カーブ以降を攻めすぎたのか、ロードノイズを拾いまくりですw
ちなみに、シェルには音導孔として4.0mmの穴を二つ空けるのですが、
いきなり4.0mmを開けるのではなく、まず2.0mmくらいから開けて、ガイドを造ります。
スレでも半田パッドがとれた!という報告がちょくちょくありました。僕も今までに
半田パッドが剥がれてダメにしたドライバが結構あります。
体感ですが、どんなに上手く半田付けしても、パッドの寿命は5回の半田付けまで
だと思われます。なので、出来るだけドライバの半田パッドに半田付けしなくてもよい
工夫をするのが正解でしょう。具体的には、配線を少し長くして、ドライバ再利用のときに
再び結線しなくてもよくするなどです。
左はデュアルにするEDをまとめたところです。ポートが隣り合うようにまとめます。
熱収縮チューブでまとめた後に、セロハンテープで固定しています。瞬間接着剤でも
よいでしょう。 

使用するフィルタは、ハイ/ミッド側が白フィルタ、ロー側が緑フィルタです。
ドライバのポートとチューブの接続ですが、瞬間接着剤で接着した後に、UVレジンでさらに
密閉してます。密閉できてないと低域が逃げてしまいます。
さて、ネットワークの調整をするのですが、トゲトゲのフェイスプレートが登場しました。
これで完成ではありませんw耳に入れるにはちょっとパンクがすぎます。
2015とEDを収めたシェルにこのトゲトゲフェイスプレートを被せたのですが、
これには訳があります。次の記事でネットワークの調節を説明したいと思います。

2012年8月17日金曜日

ハイブリットIEM作例・完成編

ブログの形式を弄りたいな・・・カテゴリとかがないと後々読みづらいだろうし。

さてIEM完成編です。写真ももうちょっと並べられないものか・・・

シェル素材はスレで地デジさんが紹介してくれた光硬化樹脂を使ってます。
詳しくは2スレ目のテンプレを見てください。最近荒れてしまってますが・・・。
この樹脂は硬化に紫外線を使うので、最初は黄変します。

ハイブリットIEMが完成。なかなか上手く作れました。
ただ、ほっとくと黄色身がだんだん抜けて、ほぼ透明に近くなります。
なぜかは全くわかりませんw 角度によっては黄色が目立つんですが。
自作カスタムIEMでは、好きなコネクタが使えます。
コネクタはMMCXを採用してます。左耳は特に完璧に仕上がりました。
UMシェルとの比較。UMはフェイスプレートとシェルの接着が綺麗ですね。
自分はエポキシ接着剤を使用したのですが、これだとフェイスプレートとシェルの境目がくっきり
しちゃうんですよね・・・。グラデーションになっていた方が一体物みたいでカッコいい。
ブレててすみませんが、音導孔もまずまずの仕上がり。
フェイスプレートは本人の希望でブルーです。無難な選択です。
 周波数特性。微妙に揃ってなかったりしますが、まぁ測定不備に違いありません。
ええそうですともw・・・右はSE115オンリーとの比較。

父の感想ですが、
・フィッティングは完璧。遮音性はユニバーサル以上だとか(ホントか?)
・音は中低域の音圧が高め。ただ輪郭はぼやけてるんじゃないか?

まぁ、うっせえよ、という感じなんですがw、普段ER-4Sを使ってる父からすれば
高域がもっと先鋭だった方が良かったのかもしれません。
音の好みっていうのは千差万別なんだな、と改めて感じました。

このIEMが完成したのは6月の中旬あたりでした。今はSonionドラを使って
あれこれやってます。耳型を新調したので、その辺りの話題も投稿しようかと思います。



2012年8月16日木曜日

ハイブリットIEM作例・組立編

写真の並べ方が上手くいかないので2部、いや3部構成になると思いますw

耳道が狭い人のIEMは、耳道第1カーブ辺りで切ってIEMを作ってしまうらしいです。
でもそれだとユニバーサルとあんまり大差ない感じになってしまうかなと思って、なんとか
第2カーブ以降を残して造りたいところです。耳に深く刺さってる感がカスタムIEMの
醍醐味ですからねw.

元の線材を取り去って、新たに線材を半田付けします。今回使用したのはモガミの2706です。
たぶんカナルワークスさんも2706を使ってるんじゃないでしょうか。モガミが作ってるので
線材としては信頼性バツグンですからね。
使用したのは白フィルタ。ダイナミックには赤フィルタを使います。
ダイナミックドライバと音導チューブを両面テープで接着するので、プラパイプを使って
両面テープの貼りしろを確保します。
ダイナミックドライバは、中心の穴以外は塞がれた状態で筐体に収まってるんで、それを参考に
両面テープで貼り付けます。 

両面テープだけだと強度を確保できないんで、熱収縮チューブをかぶせて密閉します。
線材は同じくモガミ2706。
さて懸案のシェルですが、まずコネクタ用の穴を空けます。これは忘れがちなので注意。
その次に、2.0mmのピンバイスで音導孔をふたつ開けます。
 2.0mm二つでもこれくらいギリギリです。普段は音導チューブをここから通すのですが、
今回はそれが出来ません。
そこで、音導孔に2.0mmのプラ棒を通して、そのプラ棒に音導チューブを接続します。
 プラ棒を引っ張ることで、ドライバを正しい位置にセッティングします。
 そのままだと固定できないので、内部にUVレジンを流し込んで固定します。
硬化には紫外線を当てるので、シェルが再び黄変してます。
UVレジンが硬化後に、力づくでプラ棒を引き抜きます。
運が悪いとブチっとプラ棒がちぎれます。そうしたらもう一回シェルから作り直しです・・・。
日ごろの行いが試されるときですね。僕はあんまり行いがよくないようですw

さて写真の数が増えたので完成編は次に回します。