2012年11月3日土曜日

初ユニバーサル? 『タカチくん』製作編

twitterを始めてから、IEMを自作する人たちと交流を深めたのですが、
IEMでもカスタムを自作するのか、ユニバーサルを自作するのかで分かれるみたいです。


こちらは、先月匿名さんから寄せられたフルスクラッチの
ユニバーサルIEMの写真です。素晴らしい完成度ですね。
ユニバーサルの一番の難所は、筐体をどうするかというところでしょう。
フルスクラッチは、ノウハウなり経験がないと中々難しいです。


市販されているケースなどを筐体に流用できれば、
自作ユニバーサルIEMのハードルがぐんと下がりそうです。
これはタカチから出ている「SW-15」という最小のケースです。
寸法は10*10*15mm、千石で¥90で購入。
最初は「こんなケース何に使うんだよw」と思ってましたが、
ユニバーサルIEMの筐体としてはうってつけでした。


せっかく蓋を開けることのできるケースなので、中身を入れ替えられるように
したいところです。音導管と筐体の接着はせず、音導管はアルミプレートに
接着し、そのプレートと筐体はネジで接続することにしました。



アルミプレート部と音導管の全図。角をリューターで落としておきます。
この音導管内に、チューブを差し込んで、BAユニットと音導管を接続します。
音導管は4mmと6mmのアルミパイプを結合して作ったのですが、4mmのほうに
サウンドダンパーを差し込みます。丸棒やすりで少し内径を拡大しています。


中身に詰めるBAドライバですが、今回はUE900を模して、
TWFKと33A007を入れてみることにしました。
当初はTOGO!334を再現する予定でしたが、残念ながら
このケースにCI22955は入りませんでした。
このケースにはDTECや33A007をウーファー、
TWFKやED29689、Sonion2389、44A004などをツイーターに使った
3~4ドライバのIEMが限界だと思われます。
もう一回り大きいケースは15*15*20mmで、こちらにはCI22955が
入るんですが、今度は耳に収まるかどうかという問題が出てきますw


ケースの中がギチギチなので、残念ながら今回は空中配線です。
33A007には10Ωの能率調整、TWFKには2.2uFのハイパス用コンデンサ。
TWFKのFKには2.2uFが、WBFKには1.8uF((1.5uF+2.2uF)/2、並列接続)が
挟まった状態になってます。


フタ側にコネクタを付け、パチンとフタを締めて完成。イヤーチップは
Shureの物を利用できるようにしています。大体4mmのアルミパイプが
Shureにぴったり、6mmくらいのがUEのにぴったりです。
これはMMCXコネクタをつけてますが、あまり調子が良くなかったので、
結局ケーブル直付けにしました。


周波数特性。カプラがぐずぐずなのでまともに計測できてませんねw
音導チューブ長さに関する実験を近々したいので、カプラもキチンと設計しなくては。
周波数特性だけでみると、1kHz付近が抑えられているのが分かると思います。
実物のUE900はかなり低域が強めだったので、能率あわせの10Ωが挟まれていない
のかもしれません。ウーファをスルー付けで使うというのは、カスタムIEMの
ネットワーク設計に良く見られ、それが反映された形なんでしょうか。あくまで推測ですが。

さて、祭りではロジクールの人たち含め、様々な人たちに試聴してもらった
嘘UE900こと『タカチくん』。しかし、祭りの終わりごろに
「左のバランスがおかしい」という指摘が相次ぎました。
聴いてみると、たしかに音が小さい?どうやら、内部の接触か
音導チューブの密閉がダメになってしまった模様。


祭りにあわせて作られ、祭りの終わりとともにその
役割を終えたタカチくん。短い生涯でした。
自作ユニバーサルを作らんとする人の何かの参考になってくれればうかばれるというもの。

今度はフルスクラッチでやってみようかと思いますが、音導管とBAユニットの密閉は
課題として残りそうです。